通信制教員ユニオンを立ち上げました!

 先日11月15日、私学教員ユニオン内部で「通信制教員ユニオン」が結成され、同日に、厚生労働省で記者会見を行いました。「通信制教員ユニオン」は、通信制高校の労働問題・教育問題を専門的に取り組むことを目的として、「私学教員ユニオン」のメンバーの中の通信制高校の教員経験者を中心として結成されました。

 近年、私立通信制高校の数は、2000年度の44校から2023年8月には210校と急速に増えています。通信制高校に通う生徒数も増加しており、通信制高校に通う生徒の割合は、2023年8月には、公立通信制高校と私立通信制高校合わせて高校生全体の1割弱になっています。すなわち10人に1人に近い数の高校生が通信制高校に在籍しています。
 しかし、こうした2000年代以降の通信制高校の飛躍的な増加は、明確なルールや基準がないまま進められたため、それに伴い多くの労働問題・教育問題が顕在化してきています。
 私学教員ユニオンでは、これまでに私学通信制高校である角川ドワンゴ学園N高等学校(以下「N高」)、科学技術学園高等学校(以下「科学技術学園」)、つくば開成高等学校(以下「つくば開成」)と労働争議を重ねてきました。

 これら通信制高校との争議を重ねるうちに、どの通信制高校にも存在する共通の労働問題・教育問題(担任一人当たりの極めて多い受け持ち生徒数とそれによる教員の心身の故障、非常勤講師や教員免許すら有していない学生アルバイトに担任を持たせようとする、レポートやスクーリング等の法で定められた最低限の教育すら形骸化している等)を私たちは認識するようになりました
 こうした通信制高校共通の問題に対処するために、通信制高校に特化した日本初の通信制教員のユニオンの結成の必要性を実感したメンバーを中心として「通信制教員ユニオン」を結成しました。「通信制教員ユニオン」では、通信制高校だけでなく、近年の通信制高校の増加に伴って設立が進んでいる通信制中学、通信制大学、すなわち通信制の学校全体の問題に対応するつもりです。

 「通信制教員ユニオン」の活動内容は、通信制学校の仕組みをよく知っている組合員同士が協力して、通信制学校で働く人からの労働相談に乗り、適切なアドバイスをすること個々の通信制学校の労働・教育問題の解決に向けて団体交渉や団体行動をすることです。
 さらに、通信制学校業界全体の問題の改善に向けて、どの通信制学校にも適用される「共通規則」(例えば、業界全体の通信制教員の賃金の上昇、教員一人あたり生徒数のより適切な上限の制定、担任は教員免許を持った常勤・専任の教育が行う等)の制定を通信制高校の業界団体や文部科学省に要求し、制定を実現していくことを目指します。

 近年は特に、貧困家庭の子ども、身体・精神障がいや疾病を有する子ども、外国籍労働者の子どもなど、様々な社会的課題を抱えて全日制の学校に適応できずにいる子どもたちの「受け皿」の役割を通信制学校が担ってきました。
 しかし、通信制学校の教員の労働環境や教育の質の問題は、世間にも、学術界においても、これまでほとんど見過ごされているといった状態でした。
 私たちは、以上に挙げたような通信制の学校の諸問題を解決していくことで、教育業界全体を改善していきたいと考えています。どうか応援やご支援をよろしくお願いいたします。

各学校の問題点等は以下をご参照ください。

①N高

現在、東京都労働委員会に申し立てを行い、学園からのスラップ訴訟(組合としてはスラップだと考えています)の対応中。

現在は交渉が行えていないため、直近の団体交渉報告内容は以下。

【#N高】団交報告〜N高「提出期限とおっしゃいましたけど、それって一方的に組合が定めただけであって約束でも何でもないですよね」〜

②科学技術学園

【#科学技術学園】「挙式で休暇を取った事を理由に雇止め?」団体交渉をスタートしました!

【#科学技術学園】「挙式で休暇を取った事を理由に雇止め?」第1回団体交渉で見えてきた「教員聖職論」

【#科学技術学園】ダブルスタンダードばかりの第2回団体交渉から見えてきた問題

③つくば開成

【#つくば開成学園】スクーリングに関する「不正行為」を一部認めました!|総合サポートユニオン (note.com)

【#つくば開成学園】学校のスクーリング登録不正を「生徒による不正」にでっち上げるつくば開成学園の論理|総合サポートユニオン (note.com)

【#つくば開成学園】性差別・セクシャルハラスメントの改善に向けた第一回・第二回団体交渉の報告|総合サポートユニオン (note.com)

【#つくば開成学園】不適切なスクーリングの謝罪と残る問題点について|総合サポートユニオン (note.com)